第20回 東京大学 理学部公開講演会 に出席して

昨日は、第20回 東京大学理学部公開講演会に出席いたしました。

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/event/public-lecture20/

講演に先立ち、第20回を記念して、コンサートが開かれました。10月20日(木)には、ハーヴァード大学のロバート・レヴィン氏のモーツァルトの生演奏を拝聴し、昨日は、二期会の菊池美奈さんの歌を聴きました。安田講堂でこのように音楽が聴けることはたいへんうれしいことです。確かに、現在の音楽ホールほど音響効果はよくないでしょう。しかし、むしろヨーロッパの街中にある演奏会場の雰囲気に似ているので、安田講堂も音楽を楽しめるホールだと思います。


菊池さんが、MCでとてもよいことをおっしゃいました。「音楽は、時間に秩序を与える。」とてもいい言葉ですね。西洋音楽の3要素は、リズム、メロディ、和音ですが、ルールがある程度決まっており、秩序があります。その秩序に従って、いかに多彩で個性的な表現をするかが、音楽の勝負どころでしょう。
私たちが日ごろ時間を感じるのは、実は秩序だった物理的運動からです。人間が時間を感じるのは、地球が、自転と公転をしていて、日が昇り、東沈み、それが約365回続く間に、太陽の周りを1周しているからです。もし、この運動がなく、時間がのっぺらぼうに進んでいたら、おそらく、人間は時間を意識しなかったかもしれません。現在でも人間は正確に時間を知る感覚器を持っていません。時間を知るにはどうしても時計に頼っているのです。何もなかったら、腹時計を信じるしかないでしょうか(笑)? ギリシャ時代は、音楽と物理は極めて近い学問分野でしたし、コペルニクスガリレイニュートンが、星の運動の秩序を見て、天空の音楽と思ったのも無理はありません。

まさに、「時間の秩序」を考えている点で、物理と音楽は非常に近い関係にあります。おたがい精密な論理構造を持ちながら、それを使ってどう表現するか?それを使っていかに遊ぶか?それが醍醐味です。



もう一つ。昨日のパネルディスカッションで、科学と音楽の共通点が挙げられました。それは、とにかくやって楽しいし、新しい発見があれば、誰かに伝えたいし、ワクワク感や興奮がみなさんの共感を呼ぶという点です。よく、科学者のプレゼン能力が低いといわれます。私など、プレゼン能力が本当に低いので、いつも悩んでいますが、日々プレゼンの研究もしていますし、していきたいと思っています。昨日の、演者の早野先生、塚谷先生のプレゼンは、本当にすばらしかったです!ワクワク感や興奮が伝わってきました!しかし、ワクワク感を伝えるためには、日々ワクワクしながら研究できていないと難しいです。ワクワクできない理由として、教授からテーマを与えられ、無理やりやらせられる感じで、研究をしているということが挙げられます。無理やりやらされて仕事をこなしているのであれば、企業に勤めた方が、ずっと金になります。やはり、自主的な研究を、このやるべき仕事がある中で、いかにして「隙間時間」を作って行っていくか?研究していく上で大切と思っています。「隙間時間」を無理やり作って研究したい!というくらいのワクワク感のある研究でないと意味がないということにもつながります。これも、時間管理に関することで、「時間に秩序を与える」「時間にメリハリを与える。」ことの大切さともつながります。



そして、プレゼンでは、音楽も、科学も最高のパフォーマンスをしたいですね!



日々、研鑽ですし、プレゼンで最高のパフォーマンスができれば、お金や職も自ずと近づいてくると思います。これは、企業でシステムを売る際にも同様です。
私もこの能力が低いことが致命的です。

日本人がプレゼンが下手といいますが、能や、歌舞伎、文楽、落語などの芸能のパフォーマンスを見ていると、すばらしいので、日本人だからは理由にならないと思います。

私も日々研鑽です。

最後に、早野先生のご紹介してくださったお言葉です。「フェルミ加速器研究所初代所長のウィルソン。議会で、『この研究は国防に役にたつのか?』と問われた時の答え。『国防に役に立ちませんが、この国をまもるに値する国にします。』」。かっこいいですね! 振り返って、私の研究は「こんな成果を上げる国だから、守るに値すると思われるような研究」か?と問われると、ぐうの音も出ない感じです。はずかしい。
坂の上の雲」で、秋山兄弟は「国をまもった人々」ですが。。。。。「まもるに値する国にした人」それが友人の正岡子規だったのでしょう。



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