メトカーフの法則

最近、全然ブログを更新していないことに気付いた。というか、ブログを持っていたこと自体忘れていた。ひどいものである。友人に「最近ブログを更新していないね。」といわれて、「ああそういえば、ブログを持っていたなあ。」と思い出したのである。

このところ、情報発信の媒体が増えて、さてどんなネタをどこに書いていいやら、と思ってしまう。考え込む。いや、むしろネタ切れのほうが多いか。。。昔はホームページくらいしか情報発信の媒体がなかった。それが今では、ブログ、そしてSNSである。私の勤めている会社でも社内SNSが始まって、ほぼ毎日そっちには書き込みをしているので、どうしても、その他の部分は手抜きになる。困ったものだ。というか、うれしい悲鳴である。

前置きはともかくとして、はやく本題に入れ、という声が聞こえる。いや聞こえないか。。ネットはまだそこまでは進化していない。

さて、本題の「メトカーフの法則」である。「メトカーフの法則」なんて、わざわざ私が書かなくても、ウェブでググればすぐわかる。でも、この法則の本質を書いてある記事は少ない。実は、非常に基本的で、奥が深い、しかも、原理はシンプルな法則なのである。そこを知っていただきたい。

まず、人間の直感としては、何かの量nがあって、それが増加したりするならば、それにともなう、影響、増えるとか減るとかいうことは、nに比例するという思考に慣れている。しかし、メトカーフの法則は、その影響が、nに比例するのではなく、nの2乗に比例する場合があるというのである。これは、実は、ある集団があって、その間で相互作用のある系では普遍的な法則なのである。だからというか、実は最初に提唱したのはメトカーフではないと思う。確かにコンピュータネットワークの世界ではそうであるが。昔から、こんなことは知られていた。だから私としては、「n2乗の法則」と呼びたい。なんか、抽象的な話なってしまっているので、少し具体的に話そうか。

「n2乗の法則」は、いたるところに現れる。

多分こういうことを最初に考えたのは、私の大学、大学院で専攻した物理学ではないかと思う。物理学の例で言うと「n個の粒子があったとき、それが衝突する確率はnの2乗に比例する」ということだ。

要するに、何のことはない、n個あると衝突する相手は、高校の確率統計で習う、組み合わせの計算と同じで、「組み合わせ」nC2だからn(n-1)/2でnが大きいところではnの2乗に比例するだけのことなのだが。非常に単純で普遍的な法則である。

これが、コンピュータネットワークの世界ではわざわざ名前が付いていて、「メトカーフの法則」と呼ぶ。「n個のクライアントがあったときに、流れる情報はnの2乗に比例する。」ということだ。これも先ほどの物理学の粒子の衝突と同じ原理で、クライアントの通信の相手は、組み合わせnC2に比例する。nが大きくなれば、nの2乗に比例するというわけだ。

こうして、この法則は応用され、携帯電話、SNSなどの会員数が増えた時のそのコミュニティの「価値」も、そのネットワークの「価値」も会員数nに比例せず、nの2乗で増えるわけだ。お互い相手がnの2乗で増えるからである。

この「n2乗の法則」は、応用が広く、コミュニケーション論や社会学でも同様な意味で使われる。つまり、冒頭のほうで書いたとおり、なにか集団や集合があって、その間で相互作用、つまり、ネットワーク、情報のやり取りがあるシステムでは普遍的な法則なのである。

こんな使われ方もする。プロジェクトマネジメントでは、「メンバーn人に情報を伝えるには、nの2乗に比例して苦労する。」ということで、負の意味で使われる。この辺が人月、人×月で、時間と人数は可換ではないということになる。10人月といっても、1人で10ヶ月かけてやるほうが楽で、10人で1ヶ月でやるほうが大変だということだ。この人月の非可換性も、その奥にはメトカーフの法則、n2乗の法則が深くかかわっている。

このように、メトカーフの法則は奥が深いのだ。だから、いろいろなところで使われていて、最初に誰が本当に提唱したのかは、わからないだろう。それはいいとして、n2乗の法則。基本は、集団とネットワークのある系。組み合わせnC2=n(n-1)/2でnが大きい極限で、nの2乗に比例する。それだけ覚えていただきたい。いろいろなところに、まだまだ応用が利くはずである。