平重盛とサンデル教授

大河ドラマを毎週楽しみにしています。小学生のころから、大河ドラマが大好きです。近年の大河ドラマでは、歴史上の人物の日常生活も描きながら、その日常生活の中で、歴史的な大事件が、どのように起こったのかをよく描いていると思います。
今年の「江」は、とくにその傾向が強いでしょう。とても面白く拝見しています。しかし、浅井三姉妹は、渦中の人であるのに、その緊迫感がなく、傍観者のように見えてしまうのが、残念な気がします。

さて、来年の大河の情報も、次々と入ってきます。今を時めく、「松ケン」が主役ですね。平清盛だそうで、とても楽しみです。先日、私も、「源平」の政治思想の観点から、日本の歴史を振り返ってみました。
http://d.hatena.ne.jp/masanori-yumoto/20110426/1303779502
その源平の時代の幕を開けたのも、平清盛でしょう。
その平清盛の長男に、平重盛がいます。文武に優れた名将でしたが、若くしてなくなってしまいました。この重盛の死が、平家滅亡のきっかけであったともいえると思います。平重盛の残した言葉に、「忠ならんとすれば孝ならず、孝ならんとしれば忠ならず」という言葉があります。父清盛と、後白河院との対立が激しくなり、清盛を立てなければ、親孝行にならず、後白河院に協力すれば、忠義が成り立たないということで、大変悩んだようです。現代の言葉でも、「家族か、仕事か」という問題かもしれません。さらに、一般に「公」と「私」どちらが大切か、という問題になります。

ところで、最近、ハーバート大学のサンデル教授の講義が人気です。講義というよりは、彼自身が、モデレータとなり、議論を盛り上げている感じです。そのサンデル教授の議論の重要なテーマが、「公」と「私」でしょう。政治でいうと、「公共の利益」と「基本的人権の尊重」のどちらが大切かということです。この2つは、同時に達成されることもあれば、時としてまったく対立し激しい争いの原因になります。サンデル教授の議論で明らかになってくることは、自分が直接不利益を被るときには公共の利益として好ましいことであっても反対し、自分の損得に直接関係なければ公共の利益を主張してしまうのが、我々凡人の悲しさでしょう。とても難しい問題ですし、どちらが正解ということも、永遠に決着がつかないでしょう。それに決着をつけるのが、政治というものです。

こうしてみると、長い人類の歴史の中では、洋の東西を問わず、「公の利益」と「私の利益」の問題は大きいということがわかります。そして、この「公と私の利益の対立」に決着をつけられるのが、政治の力でしょう。しかし、その決着に正解不正解はありません。賛成か反対かがあるだけでしょう。その決着の選択にこそ、政治家の思想が反映され、思想が根っこからブレることは許されないと思います。厳しい世界ですね。

ところで、先に「松ケン」と書きましたが、私の場合、「松ケン」と言われれば、松平健さんのことです。暴れん坊将軍は、痛快な番組でした。時代の流れを感じます。