野田佳彦さんと小沢一郎さん

本日、野田佳彦新首相が誕生するようです。昨日の民主党代表選挙は、とても劇的でした。そして、野田さんの、数々の名言が一緒に残りました。相田みつをさんの詩を引用した「どじょうが金魚のまねをしてもしょうがねえじゃないか。」。いいことばですね。「前原さんが立ったら、野田は降りるといわれている。とんでもない『風評被害』だ。」「雪の坂を雪玉を押し上げていく。」など、感動しました。特に、雪の坂を、私は特に気に入りました。「手習いは坂に車を押す如し 油断をすると元に戻るぞ。」といわれて、私は育ちました。野田さんの雪の坂の上には、大きな雲があるのでしょうか?




さて、今回は、結局終わってみれば、野田さんと、小沢一郎さんの戦いだったともいえます。私は、野田さんと小沢さんは、政治思想は別として、政治手法や、政治運営の仕方が結構似ているのではないかと思います。どちらも地味な方です。しかし、昭和のレトロな政治家の匂いもして、なんとなく懐かしさを感じます。おそらく、小沢さんが若ければ、今の野田さんの位置に小沢さんがいたのではないかと思います。小沢さんは、早く生まれすぎたとは言えないでしょうか?ただ、小沢さんに人がついてくるのは、金のせい、野田さんに人がついてくるのは、彼の信念に対してという気がします。

資本主義が燦然と輝いていたころ、日本には、中曽根首相という稀有の天才政治家が登場しました。彼は、昭和の政治家の匂いを放ちつつ、アメリカ的な「スター」性を持っていたと思います。日本人が長年あこがれていた、アメリカ張りの「スター首相」だったのです。当然、スターを見てしまった日本人は、次にも「スター」を求めたのでしょう。それが、小沢さんや、金丸信さんの不運の始まりだったと思います。でも、そんな「スター」は生まれないのです。特に日本には。そして、やはり「スター」だった小泉純一郎さんが名首相となったのです。今回の震災で、ようやく日本人は、バブルの興奮から目覚めたようです。やっと日本人は自分らしさを取り戻したような気がします。私は、野田さんを徳川家康のように見ましたし、番記者は、西郷隆盛のようと言っていました。そういう日本らしさからくる、安心感が野田さんにはあります。実は、今、一番必要なのは、安心感なのでしょう。野田さんが、隣に住んでいるおじさんであっても何の違和感もありません。日本人は、そういう政治家が実は好きなのです。




野田さんと小沢さんの戦いを拝見して、結局、同種の人間同士が戦って決着をつけないといけないのだと思いました。相手の強い土俵で戦って、勝った人。それが本当に強い人なのでしょう。野田さんは、人心掌握という小沢さんの一番強いところを攻めて攻略したと思います。歴史を見ても、織田信長は一番得意とした奇襲戦法を相手にやられて命を落とし、坂本龍馬は自分が一番自信を持っていた剣に敗れました。やはり、自分の強い分野に慢心してしまうのはまずいのでしょう。徳川家康のご遺訓の最後に「およばざるは、過ぎたるに勝れり。」とあります。常に自分は「およばない」という謙虚な気持ちで、前を見ながら精進し、坂を上っていく。そんな気構えで毎日を過ごそうと思います。