ニュートリノの速度問題

http://mainichi.jp/select/science/news/20110927ddm012040130000c.html

ニュートリノが光速より早く飛ぶという実験結果が発表になりました。本当ならば、とても驚きます。
たしかに、アインシュタイン特殊相対性理論かどうかはわかりませんが、物理の基本的な常識が覆ることになります。
このニュートリノの速度の観測のためには、どうしても量子力学の力を借りなければならないはずです。
量子力学のほうは、現段階で、完全に完成された学問とは、必ずしもいえないと思っています。
相対性理論量子力学の両立は、今でも基礎物理学の重要なテーマであり、難しい問題です。
私は、相対性理論は修正する必要はなく、量子力学的な観点から何か問題があるのではないか?と直感的に思っています。
けれども、早急な早合点は禁物です。

今回の問題は、本当に物理学の基礎の基礎から考えなければならないのかもしれません。

1.質量とは何か?
ニュートリノには質量があると実験で観測されています。これは、おそらく、ニュートリノ振動の結果から分かることでしょう。
ニュートリノ振動で観測される質量とは、どういう意味で質量なのか?チェックする必要があります。

2.時間を計測するとはどういうことか?
今回の実験では、時計を正確にあわせた、とのことです。特殊相対性理論では、異なる地点にある時計を合わせることは不可能だったはずです。時計を合わせて時間を正確に計測するとはどういうことか?チェックする必要があるでしょう。

3.速度とは何か?
ニュートリノはとても小さい粒子ですので、説明には量子力学の解釈がどこかで必要なはずです。量子力学における波動性がかかわってくると、速度の定義も難しくなります。位相速度なのか、群速度なのか。など。検証する必要があるでしょう。

4.ニュートリノを観測するとは何か?
ニュートリノの速度を観測するとは、ある地点Aから別な地点Bまでに走った距離を時間で割ったものです。A地点とB地点で観測されたニュートリノが同じニュートリノであると同定するとはどういうことなのか?よく考えてみることが大切でしょう。

ちょっと考えただけでも、こんな疑問がわきます。私はこの分野では全くの素人ですので、自分でもよくよく勉強してみようと思います。しかし、このような非常に基礎的な問題の考察が必要であり、もし正しければ、今までの我々の自然哲学の根本を見直さなければなりません。


ニュートリノの観測は、ノーベル賞を受賞なさった小柴昌俊先生以来の日本の得意分野です。とても期待しています。
ニュートリノは、他の物質となかなか相互作用しない、孤独な粒子です。観測が難しいですが、それだからこそ、日本の技術が期待されているのでしょう。


光とニュートリノの大きな違いは、光が人間にとって日常生活に不可欠で毎日観測している粒子であるのに対し、ニュートリノは、私たちの気づかぬ間に大量に私たちの体を突き抜けて走っていく観測の難しい粒子です。


物理学では、観測される因果関係がひっくり返らなければ、光速が超えることを許容する解釈もあります。


そのような人間側の観測の都合の問題もあり、これから議論が続きそうですね。
しばらく目が離せないですし、多くの衝撃的な物理実験の結果のように、その後どうなったのかわからない自然消滅だけは、避けたいものです。