LED (Light Emitting Diode)

今年も、ノーベル賞の季節が近づいてきました。近年、日本人の受賞者が増えたことで、日本の科学(と技術)の水準の高さが証明されていると思います。ただ、心配なことは、こうして日本の優秀な成果が上がると、「日本人」や「日本の技術」に対する期待感から、「日本に投資する」という意味で、さらに円高が進んでしまうのではないか?と思います。こうした科学技術を上手に適用した付加価値の高い製品を作ることによって、円高による輸出不況を克服したいものです。


さて、そのような中で、お手本となるのは、今日話題にしたい、LED(Light Emitting Diode)です。今年の大震災による省エネで注目され、さらにエコであり、光への変換効率の高いLEDです。みなさん、LEDと覚えていらっしゃると思いますが、これは、Light Emitting Diodeの略なんですね。ちなみに、日常用語になっているのに、元の正式名称を知らない例に、ペットボトルのPET(Polyethylene terephthalate)があります。こんな難しい化学物質の名称なのです。ですから、PETボトルは、おそらく英語として正しいにもかかわらず、英語圏の一般人には通じないのです。この辺英語圏では、結構いい加減で、なんでも、Plasticで済ませてしまいます。ビニール袋も、plastic で済ませてしまいます。それはともかく、今日はLEDの話題です。


LEDがなぜ光への変換効率がよいのかは、また別途説明することにして、今日は、開発の歴史をちょっと振り返ってみようと思います。実は、この歴史には大変多くの日本人がかかわっています。
まず、LEDのアイディアを出したのが、東北大学西澤潤一先生です。西澤先生は、本当にたくさんの電子デバイスを発明なさっていて、驚きます。
そして、可視光のLEDの開発に成功したのが、アメリカのホロニアック先生です。
その後、可視光の中でもエネルギーの低い(波長の長い)赤、緑までは開発に成功したのですが、光の三原色のもう一つ「青」の開発がとても大変でした。
白色に近い自然な光にするためには、赤、緑、青の三色を混ぜることが必要だったのです。

この「青」の開発で、また多くの日本人が活躍します。基礎的な技術は、赤崎勇先生が開発なさいました。そして、製品化には、中村修二先生が貢献なさいました。中村先生の特許裁判は大きなニュースになりましたのでご存知の方も多いと思います。

このように、日本人研究者の大活躍により、LEDは日常の電気として活用される道筋がついたわけです。
不幸にも、本年の大震災で、「大活躍」をすることになったLEDですが、このおかげで、ずいぶん節電できたのではないでしょうか?

本年、IEEEエジソンメダルを、赤崎勇先生がご受章なさいました。

そして、IEEEエジソンメダルは、過去に、ホロニアック先生、西澤先生も受賞なさっています。
IEEEエジソンメダルは電気電子工学のノーベル賞と言われています。


そこで、冒頭の話に戻りますが、今年こそは、西澤、ホロニアック、赤崎の3人に、LED開発で、ノーベル賞を!という願望を抱かずにはいられないのです。