ジョブズよ! 「夢」をありがとう!

今日の通勤電車の中で、ジョブズの死去をしりました。仲間がFacebookに書いているのを読んで、第一報を受けました。正直ショックで、立ちくらみがしました。


私にとってジョブズは「夢」を与え続けてくれた人でした。大学院時代にMacintoshユーザとなりました。しかし、会社に入ってからは、周りの人たちとの整合性をとり、「効率を上げるために」Windowsユーザとなり、彼を裏切りました。その後、iPodのユーザとなり、今でもiPodは私の友です。現在は、iPhoneiPadが登場して世間を盛り上げていますが、このブームに私は乗り遅れ、まだ触れたことすらありません。このように、ジョブズは常に我々の時代の先頭を走り続けてくれました。そして、それにより、私は「夢」を見ることができたのです。明るい未来の「夢」です。


しかし、現在の多くのITは夢を与えているでしょうか?ただ単に、「効率を上げるために」ITを使ってはいないでしょうか? 「効率を上げること」と「夢を追うこと」は、完全に相反する概念ではありませんが、多くのケースで相反するものとなって現れるでしょう。たとえば、日常生活で、「効率をあげるために」あくせく必死になって働きます。そして、それは、一生懸命働いてお金を貯めて楽しく幸せに暮らすためです。「効率を上げる」のは、あくまでも手段であり、目的ではありません。「楽しく幸せに」暮らすことが目的です。つまり、ジョブズは、ITを「楽しく幸せに暮らす」という人間本来の目的を直に果たすために用いることを提唱したのです。ところが、世の中、特に組織や企業のITはどうでしょう。「効率を上げるために」使っていませんか?その段階で、ITは(楽しく幸せになるための)「手段のためのそのまた手段」になってしまっているのです。これではITの存在が悲しすぎます。


これを企業にたとえてみると、「夢を実現する商品」というのは売り上げの増加に貢献します。しかし「効率を上げる仕組み」は原価低減に貢献するのです。同じ利益を上げるにも、売上増とコスト削減、どちらが夢がありますか?コスト削減のためにITを導入し、挙句の果てに人を削減する。どんどん夢から遠ざかってしまいます。今の世界的恐慌も意外とこのようなところにあるのかもしれません。


このような風潮と闘い続け、「夢」を提案し続けた男がジョブズなのではないでしょうか?


先端IT活用推進コンソーシアム(AITC)の副会長である、インフォテリアの平野洋一郎さんが、AITC Day 2011(第1回中間活動報告会) http://aitc.jp/events/20110223-Day/index_v3.html で、「夢を見て、管理を嫌ったIT技術者が、いつから、管理側に回り、夢を見なくなったのか?」との問いを発せられました。まったくごもっともで、いつからIT技術者は管理側に回り、夢を見なくなったのでしょう?


私の子供のころから、鉄腕アトムドラえもんは、私たちの夢でした。ITの基礎分野である人口知能は、これらを実現するはずでしたし、今でも実現するはずのものです。IT技術者はいつからあきらめがこんなに早くなったのでしょうか?


IT技術者に、夢を簡単にあきらめてはいけないと言い聞かせ続けてくれたのがジョブズでした。私たち日本人は、鉄腕アトムドラえもんを実現し、ジョブズが与えてくれた夢の実現を目指しませんか?私は目指したいと思います。

ジョブズのご冥福をお祈り申し上げます。