ハイ・タッチ

ハイ・タッチ (旧ブログから、再掲載)

最近、「ハイ・タッチ」という言葉をよく耳にする。「ハイ・タッチ営業」、「ハイ・タッチセールス」などなど。ハイ・タッチといえば、団体競技とかで、うまく点数が入ったりすると、選手同士で、高く手を上げてお互いたたくっていう、あれかと思ったらちがうらしい。良くわからないのだが、最近使われている「ハイ・タッチ」は、「人の心に深く触れる」というような意味らしい。例えば、製品にしろサービスにしろ、人の心を捉え、動かし、感動を与え、感銘を与えるようなものを、「ハイ・タッチ」なものというようである。そしてこれからは、これら「ハイ・タッチ」なものが世の中を支配するらしい。
これは、「ハイ・テック」(Hi-Tech)に対するアンチテーゼとしての「ハイ・タッチ」(Hi-Touch)である。今までの世の中では技術が高度であれば優れたものと認識された。しかし、それだけでは十分ではなくなったのだ。何か人の心に触れるものでないと勝負できないというのである。そうすると、サービスや製品もそうだが、それを生み出す人間も「ハイ・タッチ」な人間にならなければならない。人と共感する心。人を思いやる心。そんな能力が、必要になってくる。
例えば、弁護士。法律のことを良くわかっていて、判例もよく知っていて、裁判に強い。それが「ハイテク」弁護士であったが、これからは、クライアントに共感し、思いやる、ケアする、そういう能力も必要になってくる。
例えば、医師。医療知識も豊富で、外科医なら手術もよくでき、判断を誤らない。それが「ハイテク」医師であったが、これからは患者の痛みがわかるようにならないといけない。
そんな感じが「ハイ・タッチ」であろう。
情報化社会を迎えて、IT技術も進歩した。ITは、もはや電気やガス、水道、電話といったライフラインに匹敵する社会基盤になりつつある。人の心を和ませるようなIT社会の設計。それが、「ハイテク」で「ハイタッチ」な社会に必要なのだろう。技術はもちろんであり、その上で心も研かねばならない。そういう時代になったのだ。

※ この記事は、湯本正典の個人の見解です。