「コト」から「モノ」へ、「モノ」から「コト」へ

「コト」から「モノ」へ、「モノ」から「コト」へ。 (旧ブログから改訂再掲載)

今回は、ちょっと柔らかい口調で、しかし重要だと思われる、職業革命について話したいと思います。
世の中で一番最初の「職業」は「娼婦」だったといわれています。「職業」とは、「誰かに何らかの価値を与えてその代わりにお金をもらう業」と簡単に考えておきましょう。さて、今では法律で禁制され道徳概念からも否定されている「娼婦」ですが、ちょっと学問的に考えてみましょう。「娼婦」は今でいうところの第何次産業でしょうか?おそらく、「サービス業」ですから、「第3次産業」なんでしょうね。そして、そのほか、「娼婦」のと並んで最初の職業といわれる、例えば「文筆家」「思想家」「占い師」などの職業。これらみんな、第3次産業なわけです。「サービス業」ですから、「モノ」を売るより「コト」を売るわけです。古代はこんな、第3次産業、「コト」を売る職業だったわけです。

さて、文明は進化して、人間が食料、つまり「モノ」を作るようになります。そして食料を売るようになります。これは第1次産業ですね。「コト」を売るのではなく「モノ」を売るようになります。これは、まさに「革命」ですね。職業の革命です。
時は流れて、「産業革命」が起こり、工業が発達しました。自然界から鉱物をとってきて加工し、製品にする。第2次産業の爆発的な発達です。これも「モノ」を売ることに変わりはありません。実は、産業革命も「モノ」から「モノ」への革命に過ぎないともとらえられるのです。
そして、近代になって、「モノ」を作る「ブルーカラー」よりも、それを管理する「ホワイトカラー」の台頭があります。そして「ホワイトカラー」の全盛時代になり、これらはまさに、再び、「モノ」ではなく「コト」を売るようになるのです。第3次産業ですね。

現代。ドラッカーの予言したとおり、情報化社会が訪れ、「ホワイトカラー」よりももっと進化した「ナレッジワーカー」が登場し、成長しています。まさに、「モノ」ではなく「コト」を売る職業です。IT技術の発達により、この状況は加速しています。
この先の話は、実はもうこのブログで書いていて、「ハイ・タッチ」、つまり、お客に「共感すること」を売る感情のサービスになっていくわけです。
参照「ハイ・タッチ」
ここで、また「革命」が起こっているのです。「モノ」から「コト」へ。
よく、「情報革命」(IT革命)は、「産業革命」以来の「革命」といわれますが、私は「産業革命」よりももっと大きい革命だと思っています。「産業革命」は、「モノ」から「モノ」への革命でした。しかし、「情報革命」は「モノ」から「コト」への革命なのです。これは、「コト」から「モノ」に産業が変化していった「農耕革命」以来の革命ととらえたほうがいいのではないかと思います。それくらいの「覚悟」をもって、この時代に対峙する必要があると思うのですがいかがでしょうか。

そういえば、「モノ」の時代は、「より良いモノを作ればいい」、「品質のよいものを作ればいい」、といわれていましたが、段々「コト」を売るようになってくると、「お客様が満足なさるサービスを」、「お客様満足度」などといわれるようになりました。「品質のよいもの」は、「お客様を満足させる一要因」でしかなくなったわけです。そういうことで、古代の「コト」を売る時代から「農耕時代」「産業革命後時代」の「モノ」を売る時代を経て、「情報革命」によって、再び「コト」を売る時代になったのです。「コト」を売る時代に重要なことは「お客様満足度」ですよね。
最後に冗談として、「娼婦」の流れを汲む「お水系」で一番重要なことは「お客様満足度」でしょうねw。

※ この記事は、湯本正典の個人の見解です。