1783年の火山とコンテキスト

昨年、2010年の4月頃でしたか、アイスランドで火山が噴火して、ヨーロッパの空路がたいへん乱れました。そして、今年、2011年の今月1月には、日本の霧島で噴火が起こりました。

先日、他のブログで書いた内容ともかぶりますが、
http://m-yumoto.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-8f5e.html
1783年という年に、これまた興味深い火山の噴火があります。実は、1783年にも、アイスランドで火山が大噴火を起こしています。そして、同じ年、日本では、浅間山が噴火をしています。

もちろん、1783年と昨年からの火山だけの状況で、アイスランドと日本との火山には関係があるということはできません。しかし、こういうことを書くと、気になってしまうというのが、人間のさがです。さて、1783年というと、このとき、政治的な側面ではどのようなことが起きていたのか?また、そういうコンテキストを考えるのも興味深いことです。実は、1783年のアイスランドの噴火は、ヨーロッパに灰を撒き散らし、大気が汚れて、日光が遮断され、気候が寒くなりました。その結果、農作物が不作で、食料が少なくなり、市民は生活に困ります。そして、それが、遠因となって、1789年にフランス革命が起こります。さて、一方の日本ですが、1783年に浅間山岩木山が噴火して、やはり灰が空をおおい、作物ができずに、飢饉になります。天明の大飢饉です。田沼意次のインフレ経済であったこともあり、生活に困窮した市民が打ち壊しに走ります。どうやら、1783年の噴火は、ヨーロッパでも日本でも政治的な不安定を導いてしまったようです。

今回の噴火が、どれほど、政治や経済に影響を与えるのかは、わかりません。しかし、噴火のために気象がおかしくなり、作物ができず、経済が悪化し、政治情勢が悪くなる。。。という状況は完全には否定できるわけではありません。最近の分析は各領域の専門家が行い、それらがばらばらに分けられてしまって、統合して総合的に考えることがなかなか難しくなっています。

分析して、細かく分けることも大切ですが、分けた後でも、その全体のコンテキストを意識して、総合的に考えたいと思います。枝葉末節が肥大化するなどして、適切な判断を下せなくなることは、さけなければいけないと思っています。