簡単な質問

いろいろな会合に出席させていただいて、さまざまな方の講演を拝聴しています。講演の後に、講師の先生に質問させていただける場合もあり、この質問時間はとても貴重な時間と私は思っています。私も僭越ながら、ときどき質問させていただきます。そのときに私が気をつけていることは、「自分のする質問は、この会場に複数の方が疑問を持っておられることに対する質問なのだろうか?」ということです。今から自分のする質問は、この会場のみなさんを代表しての質問なのか?自分の所属する業界の一員としての質問なのか?自分が所属する組織の一員としての質問なのか?それとも、全く個人的な質問なのか?。。。そして個人的な質問はしないようにしています。あとで個人的に講師の先生に伺いに行けばよいわけですから。


そんな中、ときどきするのに躊躇する質問が「やさしい質問」「簡単な質問」です。自分は分かっていない、ごくごく「当たり前」のことなのだけれども。。。ある意味「常識」なのだけれども。。。たとえば、「結局『情報』とはなんですか?」というような質問です。これは、質問者としては恥ずかしとも思うのですが。会場のみなさんにも関係しそうだと思った場合には、自分が恥をかこうが、私は質問してしまいます。逆に、私が講師をさせいていただく場合、一番怖いのがこうした「簡単な質問」に答えるときです。


実は、わたしの数少ない経験から申しあげると、「簡単な質問」に答えるには、日ごろから自分の携わっている分野のことを、世の中全体の中で、どの位置に位置づけられるのか?を考えていないと難しいことです。つまり、自分の携わっている分野の「コンテキスト」を自分で考えていないとできないといけないのです。そして、もし答えるのであれば、その質問してきた方の「コンテキスト」を知り、回答したいと思っています。そして、抽象的な(オブジェクト指向のクラスのような)答えがいいのか、具体的な(オブジェクト指向インスタンスのような、具体的な事象に関する、事例のような、)答えがいいのか?考えてから答えたいと思います。


講演会場では、質問者に「所属と名前」を聞くことがありますが、特に「所属」は、質問者が「どういう意図で(コンテキストで)その質問をしてきたのか?」を考えるのに役に立ちます。質問という「テキスト」だけれはなく、質問の(質問者の)「コンテキスト」をきちんと考えないと、質問に対する適切な回答ができないのではないでしょうか?