「境界条件」とは何か?

微分方程式を解くときに、必ず考慮するのが、「境界条件」です。1次元(1変数)の微分方程式の時には、「初期条件」ともいいます。

物理学において、なんらかの運動方程式を解く場合にも、「境界条件」(もしくは、初期条件)が必須です。そして、これは、その物理的特性を考えるべきシステムの「外」から与えられるものであり、そのシステムの「内」からは決められない条件です。そういう意味で、ある「宇宙」を考えた場合、その「境界条件」は「神の一撃」と表現されることもしばしばです。
ニュートン方程式でも、「初期条件が決まれば」その後の運動はすべて決まることになっています。また、量子力学においても、「境界条件を決めれば」考えている系のエネルギー準位が決まります。

これを、コンテキスト学として考えると、「テキスト」の特性(運動、状態など)は、「コンテキスト」(外部との接面の状態、すなわち境界条件)によって決まる、と言い換えることも可能だと思っています。

特に、量子力学において、この「境界条件」は、観測問題ともつながってくる問題と思われます。
また、ニュートン力学において切り離された、摩擦の問題もこの範疇と考えることもできます。

物理学においても、完全な孤立系はのぞめず、必ず、外界との接面をもっていることを考えると、「つながり」の重要性を認識できると思います。

そこで、私にもわからないのですが、量子力学において、「境界条件」を意図も簡単に、「ここから壁があって」ということで、周期境界条件を課したりします。わからないのは、本当にそこに「壁」があって、いかにも断絶しているというのは、本当なのだろうか?ということです。箱の中の自由電子の状態を論じているのに、壁の電子と自由電子とは、本当に断絶しているのか?何か、違う状態にあるのだろうか?ということです。確かに、集団の中にある電子と、集団の外にあるように見える自由電子は状態が違うかもしれません。しかし、それが本当に区別できるのだろうか?私にはわからないのです。特に、超伝導−常伝導の間のしみだし効果などを考えてしまうと、余計にわからなくなってしまうのです。